導入事例・ブログ
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公開日 : 2022/03/16 / 最終更新日 : 2024/05/27
「DXとCXはどう違い、どんな関係があるの?」
「どのように取り組めばいいのかわからない」
このようにお考えではないでしょうか?
2018年(平成30年)に経済産業省が「DX推進ガイドライン」を発表し、2021年にはデジタル庁が発足されるなど、DXを推進する動きが加速しています。そしてその成功のカギを握るワードとして注目を集めているのがCXです。
しかしそもそもDXとCXはどう違い、どのような関係があるのか、そして自社でどう取り組めばいいのかわからない方も多いようです。両者の関係性や重要性をよく理解しないままDXを進めても、ただのIT化や業務改善で終わってしまうかもしれません。
そこで本記事では、DXとCX、また似た言葉であるUXやCSの違いや関係性、DXの取り組み事例や注意点などをご紹介します。
目次
DXは、デジタル(Digital)による変容(Transformation=X-formation)を意味する言葉で、「ICTの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」ことを指します。スウェーデンのウメオ大学教授(当時)であったエリック・ストルターマン氏が、2004年(平成16年)に初めて提唱した概念です。
日本で注目を集めるようになったのは、2018年(平成30年)に、経済産業省が「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」を発表したのがきっかけです。
ガイドラインのなかで、経済産業省は、DXを以下のように定義しました。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること
DXを、単なるデジタル化やIT化と捉えている企業は少なくありません。しかし本来DXは、「デジタルの力でビジネスモデルや組織自体を変容(Transformation)させ、競争に勝ち抜くこと」を意味します。
ここで注目したいのが、「競争上の優位性を確立すること」という言葉です。
企業が他社と差別化を図り市場優位性を確立しようと思っても、テクノロジーが発達した現在では、商品やサービスそのもので差別化するのは困難です。かといって価格競争に持ち込むと、体力のない企業は勝てません。
そこでカギとなるのが顧客体験を意味するCXです。今後企業がDXを推進して生き残るには、顧客にどれだけ良いCXを提供するかが差別化戦略の要となるのです。
近年DXとCX以外にも、UXやCXという言葉を聞くことが増えました。
似た言葉であるこれらの違いを、きちんと把握できていない方も多いのではないでしょうか?
まずは、それぞれの言葉の意味を確認しておきましょう。
略語 | 正式名称(読み方) | 意味 |
---|---|---|
DX | Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション) | データとデジタル技術の活用により、ビジネスモデルや組織を変容させ、市場優位性を確立させること |
CX | Customer Experience(カスタマーエクスペリエンス) | 製品やサービスの認知や購入、利用など企業とのかかわりを通し、顧客(カスタマー)として得るすべての体験のこと |
UX | User Experience(ユーザーエクスペリエンス | 製品やサービスの利用を通して、利用者(ユーザー)として得られる体験のこと |
CS | Customer Satisfaction(カスタマーサティスファクション) | 製品やサービス、あるいは企業そのものに対して顧客が感じる満足度のこと |
それぞれどのようなものなのか、違いや互いの関係性も含めて説明します!
CXは、製品やサービスの認知や購入、利用など企業とのかかわりを通し、顧客(カスタマー)として得るすべての体験を指します。
UXが製品やサービスそのものの利用に関する体験だけに限定されるのに対し、CXは購入前のファーストコンタクトから、問い合わせ対応やカスタマーサポートなどを通して受ける心証まで含めることが特徴です。
DXを通してCXを促進することが、今後企業の差別化戦略のカギを握るとされています。
UXは、製品やサービスの利用を通して、利用者(ユーザー)として得られる体験を指します。製品やサービス、Webサイトそのものの「使いやすさ」に重点が置かれ、問い合わせ対応やアフターサービスなど、企業の顧客対応から得られる心理的満足度は含まない点がCXと異なります。
UXを向上させるとCXが高くなることから、UXはCXに内包されるとするのが一般的です。
CSは、製品やサービス、あるいは企業そのものに対して顧客が感じる満足度のことです。CSはCXを数値化したものといえ、CXを評価するための指標とされます。
CSは、顧客ロイヤルティを測るNPS®(Net Promoter Score=ネットプロモータースコア)を実施したり、アンケート調査などによりCSI(Customer Satisfaction Index=顧客満足度指数)を測定したりする手法が取られるのが一般的です。
DXを進めるときのポイントは、部署や事業単位ではなく、企業全体として取り組むことです。
経済省が定義しているように、本来DXは、変化が激しい市場で企業として生き残るために、データとデジタル技術を活用し、製品やサービス、ビジネスモデルそのものを変革するのが目的です。
そのためには、デジタル化やIT化による業務や事業の部分最適化にとどまっていてはなりません。経営陣など意思決定権限を持つ人物が積極的に関与し、IT人材を確保・育成したうえで、部門を横断した「DXによる企業の全体最適化」を目指すことが重要なのです。
DXに取り組むうえでのポイントについて詳細は、以下の記事をご覧ください。 「DX戦略とは?必要な理由と実践するポイントを解説」
CXを向上させることは、企業の生き残り戦略に欠かせません。ここではCX向上を目的に、DXに取り組む事例を3つご紹介します。
DXで顧客サポートを充足させる取り組みとしては、電話対応のみのサポートへの、チャットボットやQ&Aサイトの導入などが考えられます。
電話によるサポートは、夜間や週末は対応外とされるケースが少なくありません。しかし顧客が問い合わせをしたいときは、なにかトラブルが発生していることがほとんどです。必要なときに、迅速な対応をできなければ、顧客のCXは下がってしまいます。
そんなとき、チャットボットやQ&Aサイトがあれば、24時間365日の顧客対応が可能です。顧客はいつでも自力で解答を引き出して、自己解決できるようになります。
チャットボットやQ&Aではデータも蓄積されるので、サポート部門の対応品質向上や、属人化の解消にも役立ちます。
製品・サービスのデモ動画をサイト上で公開すると、顧客は営業に問い合わせて依頼する必要がなくなるためCX向上に役立ちます。
とくに近年は、BtoC、BtoBにかかわらず、商品やサービスの選定をインターネット上で済ませることがほとんどです。製品・サービスのデモを顧客がいつでも・どこでも・自由に閲覧できることは、自社にとっても機会損失の防止につながります。全国展開が難しかった企業でも、市場を広げることが可能です。
さらに、閲覧数などのデータも取れるようになるため、興味関心やニーズの高い製品・機能を把握できるといった効果も得られます。
従来紙ベースで行っていた契約業務を、電子契約に置き換えるのもCX向上につながります。
従来の紙ベースの契約締結では、契約書を製本したうえで、署名・捺印するために、郵送で往復させる必要がありました。契約書を保管する場所もいるうえ、契約後に内容を参照するには、膨大な契約書のなかから該当の契約書を見つけ、さらに記載場所を目視で探す必要がありました。
そういった手間や時間は、電子契約でデジタル化すれば不要になります。利便性が高くなるため、自社はもちろん顧客のCX向上につながるのです。手間が減ることで契約を結びやすくなり、契約数の増加といった効果も期待できます。
DXを行うときには、DXはあくまで手段であり、目的ではないと認識することが重要です。そのためには、「何をやるか」ではなく、「何のためにやるか」を常に問いかける必要があります。
例えばチャットボットの導入や、契約業務のオンライン化が、自社の利便性の向上だけではなく、その先にCXの向上があること。そしてそれが、自社の企業優位性の確立につながっていることを意識するのが大切です。
また、DXに取り組む目的は、CXの向上だけではありません。例えば、社内へのコミュニケーションツールの導入、勤怠管理・経費申請などのシステムの刷新は、従業員が全国どこでも働ける体制作りに貢献します。DXを進めることで、全国どこからでも人員を採用できるようになるのです。そしてそれも、企業として生き残ることにつながります。
DXに取り組むときには、DXそのものが目的になると、単なるデジタル化やIT化に終始してしまいます。そうではなく、その先で何を得たいのかを常に考え、視座を高く持って進めることが重要なのです。
商品やサービスによる差別化が困難になった現在、DXによるCX向上は企業にとって欠かせない取り組みです。
DXに取り組むときには、部署を横断したDXによる全体最適化を目指し、全社的に取り組むことが重要です。そしてどのような目的でDXを進めるにしても、DXはあくまでも手段であることを忘れず、その先にあるものを常に意識して取り組みましょう。
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