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デジタライゼーションとは?DXの推進にも使えるのか?

公開日 : 2022/11/16     /     最終更新日 :  2024/05/27


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人材不足やコロナ禍の影響を背景に、業務のデジタル化を検討・推進する企業が増えています。デジタル技術を導入して業務の効率化を目指すことをデジタライゼーションと呼びます。デジタイゼーションやデジタルトランスフォーメーションなど、デジタル技術をもちいた事業改革には似たような言葉が多いため、区別に困っている方も多いのではないでしょうか。この記事では、デジタライゼーションの概要やDXとの関連について解説します。

デジタライゼーションとは?

デジタライゼーションとは、デジタル技術をもちいて業務をデジタル化し、新たな価値を創出するための取り組みのことを指します。経済産業省のレポートでも「個別の業務・製造プロセスのデジタル化」と定義されており、紙の資料をデータ化するといった単純なデジタルツールの使用だけでなく、データ化した資料をネット上で共有し、共同で編集するなど、データを取り扱うプロセスについてもデジタル技術を利用することをデジタライゼーションと呼びます。製品だけでなく、業務プロセスのデジタル化をおこない、従来の商品やサービスに付加価値を付けることが目的となっています。 

 

(1)デジタイゼーションとの違い

デジタライゼーションと似た言葉にデジタイゼーションがあります。デジタイゼーションは、デジタライゼーションの前段階のような位置付けで、業務や商品の電子化を指しています。業務や商品が電子化される具体例としては、紙媒体の資料をデータにして保管したり、営業先への訪問をオンライン面談に切り替えたり、新聞や雑誌などのアナログ広告からWEBやアプリへのデジタル広告へ切り替えたりする取り組みなどがあります。
対してデジタライゼーションでは、さらに歩みを進めて業務プロセスそのものをデジタル化し、商品にデジタルサービスなどの付加価値を付ける取り組みを指します。先の例でいうと、資料を紙からデータで保管するだけでなく、更新された情報の追跡や入力情報に変化があれば通知されるよう設定し、通知内容を元に早急な対応を検討するなどです。
訪問営業からオンライン面談への切り替えの際は、映像を録画・管理し、その内容を上司などがフィードバックをするなど、社内での共有資料として活用します。アナログ広告からデジタル広告への切り替えをする際は、閲覧数や申込数などのデータを蓄積できるようになるため、数値改善のための施策を検証することができるようになります。デジタライゼーションは、単に使用するツールを切り替えるだけでなく、データ活用など作業プロセスのデジタル化までを含みます。

 

(2)デジタルトランスフォーメーションとの違い

デジタライゼーションの次なる段階は、デジタルトランスフォーメーションになります。デジタライゼーションでは業務プロセスのビジネス化をおこないますが、デジタルトランスフォーメーションではビジネスモデル自体のデジタル化を進めるための取り組みです。
デジタルトランスフォーメーションはDXと略されますが、デジタライゼーションはDXを実現するための手段という位置付けです。DXの例を少しご紹介すると、物流業界の例でいえば、車両やドライバーの手配・配送ルートの選別・配送料の価格調整・受取り場所や時間の調整を全てAIが管理しているケースです。デジタル化された業務をAIが管理することで、デジタル化された一つのビジネスモデルが完成しています。
金融業の例では、専用アプリのリリースがあります。若者世代の顧客獲得に成功し、利用率などのデータ管理を活用しながらアプリ上で金融商品を販売し、業績が改善されたケースもあります。アプリで全てのサービスが完結するため、こちらもデジタル化されたビジネスモデルといってよいでしょう。

 

デジタライゼーションによる具体的な施策

(1)デジタル広告への切り替え

デジタライゼーションを理解するための分かりやすい例としては、アナログからデジタルへの切り替えがあります。広告を例にすると、新聞や雑誌への広告がアナログ広告に該当し、それらをWEBやSNS、アプリなどの広告に切り替えます。
アナログ広告では細かく効果測定することが困難でしたが、デジタル広告では視聴回数はもちろん、広告への滞在時間や離脱の割合、閲覧者が申込にいたる確率などまで細かく把握することが可能になります。デジタル広告によって得られた様々なデータを蓄積しそれぞれ分析することで、効果が期待できる的確なプロモーションにつなげることができます。

 

(2)オンライン商談の導入

アナログからデジタルに切り替える例は、広告だけでなく営業活動にも見られます。従来の営業は訪問商談が常識でしたが、コロナウイルスまん延防止策のひとつとして、オンライン商談が広く実施されるようになりました。オンラインであれば商談内容を録画・記録・共有することができるため、商談に同席しなくても上司や本部からフィードバックを受けることができ、成績優秀者の面談記録は営業体制の強化や教育資料としての活用が可能です。

 

(3)顧客管理ツールの導入

顧客管理については、デジタライゼーションが導入されている企業も多くあるかもしれません。紙面だけでなくエクセルでの顧客管理もアナログ式の方法という位置付けになっており、デジタル化をするには専用の顧客管理ツールにて一元管理をするのがセオリーとなっています。
一元管理とは、データを一箇所に集めて管理することで、収集した情報を効率よく活用するにも優れています。紙での管理は情報の検索に時間がかかりますが、専用の顧客管理ツールを使用することで、手間なく情報を探し出せますし、社内での情報共有もスムーズに実施できるようになります。

 

デジタライゼーションのメリット

(1)業務を効率化できる

デジタライゼーションを取り入れることで得られるメリットは、業務を効率化できるようになることです。具体的には、今まで手作業でおこなっていた業務をツールに任せられる、資料データを一箇所にまとめることでスムーズな管理ができるようになる、ヒューマンエラーのない作業をスピーディにこなせるなどです。
仕事をツールに任せることで、本来の仕事に集中できるようになりますし、管理を一元化することで、必要な資料やデータを手間なく素早く検索や閲覧できるようになります。また、機械は指示された仕事を的確かつ迅速にこなすことができるため、長時間の作業となってもミスのない仕事をこなしてくれます。

 

(2)コストを削減できる

作業を効率化することで、余分なコストを削減することにつながります。ツールやシステムに代替する前は、終わりのない雑務に追われて残業を強いられることもあるかと思いますが、単純作業やルーティン作業をツールやシステムに任せることで、労働時間が減り残業代を削減することができます。
手作業に人員を費やしていた場合、人員を減らせば人件費の削減になりますし、他の生産的な業務へ移行させることも可能です。また、資料の電子化でペーパーレス化が促進されれば、印刷費用も削減できます。用紙代、インク代、印刷機器のリース代などの節約につながります。さらに、クラウドを利用してデータを管理することで、紙の資料の管理に必要なスペース確保にかかるコストも削減できることでしょう。

 

(3)多様な働き方が可能になる

デジタライゼーションは、業務の効率化やコスト削減につながるだけでなく、柔軟な働き方をも可能にします。コロナウイルスまん延防止策として在宅ワークやテレワークが注目されましたが、デジタル技術を導入することで多くの企業で働き方が変化しました。都心にある会社の近くで家賃の高い住宅に住むのではなく、地方に移住しストレスの少ない生活を送りながら在宅ワークで仕事をする人も増えています。
また、勤務管理ツールを駆使することで時間単位での休暇取得ができるため、急な用事が発生しやすい主婦でも時間を調整しながら働けるようになっています。柔軟な労働環境を提供できれば、働きやすい職場を魅力に感じる優秀な社員を採用することにもつながります。

 

デジタライゼーション推進への手順

これからデジタライゼーション導入への取り組みを始める際は、以下の5つの手順で進めていくことで、社内へスムーズに業務のデジタル化を浸透させることができます。

 

(1)現状の確認

始めに自社業務の現状確認からおこないます。業務プロセスを俯瞰することで、明らかな課題であればすぐに見つけることができます。デジタル化が進んでいない箇所を中心に、気になった業務プロセスをピックアップしていきます。

 

(2)課題の洗い出し

業務プロセス全体の確認が完了したら、それぞれの作業を細かく確認し、課題の洗い出しをおこないます。無駄な作業や負荷のかかっている作業など、効率化が必要と思われる業務を一つひとつ確認しリスト化していきます。従業員にヒアリングをするなど、実際の業務に従事している方の意見を取り入れることで、的確なデジタル化を推進することができます。この時点では、対策の優先度を気にすることなく、ひたすら課題を探し出すことに注力するのがよいでしょう。

 

(3)改善目標の設定

課題の洗い出しまで完了したら、対策・改善のステップに移ります。優先する業務は何か、どのような方法で改善するのか、対策後の効果測定はどのように実施するのかなど、改善目標とそれを達成するための手段・段階を具体的に決めていきます。また、対策する際は適切なデジタルツールを導入する必要がありますので、自社にあったツールの調査も同時に進めます。

 

(4)施策の計画

具体的な予算や実施時期の確認をおこない、デジタル技術の導入に向けた最終チェックを実施します。デジタライゼーションは短期的な課題解決の手段ではないため、経営層が中心となり、ひとつのプロジェクトとして長期的な目線での計画が必要になります。検証を含めた段階的な導入計画を構築するようにしましょう。

 

(5)実行と検証

計画を実行する段階に移ります。実行といってもデジタイゼーションを推進するための第一歩と捉えることが重要で、施策前後のデータを記録し、比較検証しながら継続的な改善をおこないます。はじめは一部署のデジタライゼーションから導入を開始し、最適化しながら他の部署にも技術導入をおこない、徐々に社内にデジタル文化を浸透させていくことが大切です。

 

まとめ

デジタライゼーションについて解説しました。デジタライゼーションとは既存の業務プロセスをデジタル化することで、業務の効率化やコスト削減、柔軟な働き方の実現をサポートするための取り組みです。業務プロセスに変革を起こすことで、顧客満足度の向上や従業員のモチベーションアップにも貢献してくれることでしょう。