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DX戦略とは?必要な理由と実践するポイントを解説

公開日 : 2022/03/01     /     最終更新日 :  2024/05/27


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「DXは企業にとってなぜ必要なの?」
「DX戦略を実践する際のポイントを知りたい」
このように考えてはいませんか?

新型コロナウイルス感染症の拡大は、多くの企業に大きなインパクトを与えました。政府がDX推進を叫ぶなか、二の足を踏んでいた企業が、自らの望む・望まないにかかわらず、DXへと舵を切らざるを得なくなったのです。

しかしDXは、経営層が高い視座から「戦略」として取り組まないと、単なるIT化や業務効率化で終わってしまいます。DXを成功させるには、なぜDXが必要なのかを正しく理解したうえで、ポイントを押さえて取り組むことが大切です。

そこで今回は、そもそもDXとは何なのか、なぜ必要なのかを解説したうえで、実践する際に押さえておくべきポイントをご紹介します。

 

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?

DXとはDigital(デジタル)と Transformation(X-formation=変容)を略した言葉です。2018年(平成30年)に、経済産業省が「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」を発表したのをきっかけに、多くの企業がDXに注目し、取り組むようになりました。

ガイドラインでは、DXを以下のように定義しています。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること

【出典】「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン|2頁」 より引用

 

このように、DXは企業が市場で優位に立つ、つまり競争に勝ち抜くために、製品・サービスやビジネスモデルそのもの、そして組織自体を変革させることを意味します。

企業が「DXを導入する」というときには、単純に紙の資料をデジタル化したり、ITツールを導入したりすることを指す傾向があります。

しかしDXは、単なるデジタル化やIT化がゴールではありません。デジタル化やIT化は単なる手段であり、DXの真の目的は「企業の生き残り」というもっと大きなものであることを、理解しておく必要があるのです。

 

DXは企業全体で「戦略」として行う

DXの最終的な目的が「企業の生き残り」である以上、DXは事業単位ではなく、企業全体で取り組む必要があります。

DXを事業部単位で進めてしまうと、それぞれが使いやすいシステムやツールを導入するため、部分最適していきます。部分最適が進みシステムや業務プロセスがサイロ化してしまうと、企業内で連携がとれなくなり、全体的な競争力は向上しません。

そのためDXは、経営層自らが経営戦略のひとつとして、部署を横断して取り組むことが必要になります。DXでは、DXを進めることによって組織の縦割りや部分最適を脱し、企業の「全体最適」を目指すことが重要なのです。

 

DX戦略が必要な理由

企業にDX戦略が必要な理由は2つあります。

  • 時代のニーズに対応するため
  • 企業の業務効率や競争率の低下による損失を避けるため

 

順番に説明します。

 

時代のニーズに対応するため

IT技術の発達や高速データ通信環境の整備により、BtoC、BtoBを問わず、人々の購買行動は変容しました。何かモノを買うときは、実店舗ではなくECサイトを利用し、調べものがあるときには本ではなくインターネットで検索します。

さまざまな消費行動がオンライン化していくなか、DXに取り組まなくては顧客のニーズに応えられなくなりました。そこからさらに差別化するためには、DXを通してより良いCXを提供することも重要です。

DXは時代のニーズに対応し、顧客に「選んでもらう」ために欠かせない取り組みとなっているのです。

 

企業の業務効率や競争力の低下による損失を避けるため

DXは、企業の業務効率や競争力の低下による損失を避けるためにも重要です。

経済産業省は、2018年(平成30年)に発表した「DXレポート」のなかで「DXを進めないと、2025年以降、最大12兆円/年の経済損失が生じる可能性がある」と述べました。これは「2025年の崖」として、多くの企業に衝撃を与えました。

日本の多くの企業は、過去の技術や仕組みで構築され、複雑化・ブラックボックス化した、いわゆる「レガシーシステム」を使い続けています。基幹システムの入れ替えは膨大な予算が必要となり、しかもそれ自体が利益を生み出すことはないためです。

しかし時代遅れのレガシーシステムは業務効率を下げ、さらに維持・管理に多くのコストや人的リソースを必要とします。企業はIT予算を新しい技術開発などに費やせず、市場での競争力を低下させていくのです。

そうならないためには、企業はDXを進め、システムを刷新する必要があります。DXの波に乗り遅れた企業は競争に勝てず、取り残されていってしまうのです。

【参考】経済産業省「DXレポート ~ITシステム『2025年の崖』克服とDXの本格的な展開~」

 

DX戦略をこれから実践するうえでのポイント

企業にとってもはや最優先事項ともいえるDX戦略ですが、これから実践するときには以下のポイントを押さえる必要があります。

  • DX戦略の目的を明確にする
  • 自社が置かれた環境を把握する
  • IT人材の確保・育成
  • データを一元管理できるシステムへ刷新

 

それぞれ順番に解説します。

 

DX戦略の目的を明確にする

DX戦略を実践するには、まずはその目的、つまりゴールを明確にすることが重要です。

DX戦略は、経済産業省が提言したように、組織やプロセス、企業文化・風土の改革までもが求められます。そのため経営陣や情報システム部門の責任者など、意思決定権限を持つ人物が協議に関与し、戦略を練り、主導する必要があります。

例えばDXを進めるために新たなツールやシステムを導入するのであれば、「導入することで何を実現したいのか」というビジョンを明確にしておかないと、単なるIT化で終わってしまいます。

さらにその目的を、社内全体に浸透させることも大切です。システムの変更など、変革の波を直接かぶるのは現場にいる社員です。そのため社員にも、なぜ今この変革が必要なのかを理解してもらい、全社的にDXに取り組む体制作りが求められます。

 

自社が置かれた環境を把握する

DXの最終目標が競争での生き残りであることを考えると、自社が現在、どのような環境に置かれているのかをまず把握する必要があります。そのためには、3C分析などを実施すると良いでしょう。

3C分析とは、以下の3つの観点から、自社が市場で置かれている環境を分析するフレームワークです。

  • Company(自社)
  • Customer(顧客)
  • Competitor(競合)

 

3C分析を行うと、自社の業界内での立ち位置や障壁となる課題を明らかにできます。さらに顧客のニーズや競合と差別化するポイントを把握して、市場優位性を保つ戦略を立てるのにも役立ちます。

 

IT人材の確保・育成

DX戦略を推進するには、ITに長けた人材の確保が欠かせません。しかしIT人材は多くの企業で不足しており、人材確保に悩む企業が多いのが現実です。

情報処理推進機構(IPA)が2021年(令和3年)10月に発表した「DX白書2021」によると、DX推進を担う人材の「『量』の確保」については76%、「『質』の確保」については77.9%が「大幅に不足している、やや不足している」と回答しています。

自社での人材の確保が難しい場合には、遅れを取らないためにも、外部からIT人材を招くことも検討しましょう。そのうえで、途絶えずにDX戦略を推進できるよう、社内で専門人材を育成できる仕組み作りを進めていくのがおすすめです。

【参考】独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)「DX白書2021|7頁」

 

データを一元管理できるシステムへ刷新

「2025年の崖」でも指摘されたように、レガシーシステムを抱えている企業はシステムの刷新が必要です。その際、事業部ごとに独自のシステムの構築や導入を進めてしまうと、事業部間のデータ連携がとれず、企業の全体最適化が遠のきます。

そのためシステムの刷新は、部署ごとではなく企業全体の課題として取り組み、全社的にデータを一元管理できるように設計するのが重要です。そうすることが、新たなビジネスモデル構築の土台を築くことへとつながります。

 

DX戦略を推進していくうえでの注意点

DX戦略を推進していくうえでは、注意点が2つあります。

 

中長期のビジョンで取り組む

DX戦略は、1年や2年実施しただけでは、効果が感じられないことがあります。しかしそこでやめてしまうのではなく、5年、10年といった中長期のビジョンを持って取り組むことが重要です。

IDC Japan株式会社が2020年に発表した「国内企業のデジタルトランスフォーメーション動向調査結果」では、DXを推進している国内企業は、ビジネス戦略とDX戦略の長期的・全体的な連携を強め、業務のあらゆる面でデジタル技術を活用し、変革しようという意識が強いことがわかっています。

DXの目的が「生存競争に勝ち抜くためのビジネスの変革」であると正しく捉えれば、中長期的な取り組みとならざるを得ないはずです。DXは、市場での生き残りをかけ、中長期的なロードマップを描いて進めましょう。

【出典】IDC「国内企業のデジタルトランスフォーメーション動向調査結果を発表」

 

小さく始め徐々に浸透させていく

DX戦略を推進するには、スモールスタートしたうえで、徐々に浸透させていくことも大切です。

DX推進が急務とはいえ、社内システムのすべてを一気に刷新してしまうと、万一トラブルが発生したときに混乱してしまいます。さらに万一うまくいかずに方向転換しようと思っても、大きなコストを投じたあとでは引き戻すのも難しく、損失が膨らむ結果になるかもしれません。

そのような事態を避けるためにも、まずは社内コミュニケーション用ツールを導入する、カスタマーサポートにチャットボットを採用する、顧客関係管理を一元化するといった小さなことから、徐々に進めていくと良いでしょう。

 

まとめ

企業がDXに取り組む際には、DXは単なるデジタル化やIT化ではなく、「自社が市場で生き残るための戦略」であると正しく捉える必要があります。DX戦略に取り組むうえで重要なのは、以下の3点です。

  • DXは企業全体で「戦略」として取り組み、部署を横断して全体最適を目指す
  • DXは企業の中・長期的経営戦略とリンクさせて取り組む
  • DX戦略は目的を明確にして社員に共有し、スモールスタートして浸透させていく

 

新型コロナウイルス感染症の影響もあり、人々の生活様式のデジタルシフトは加速化しています。今後顧客に選ばれ市場で生き残るためには、企業も時代のニーズに合わせた変容が求められているのです。

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