導入事例・ブログ
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公開日 : 2022/11/24 / 最終更新日 : 2024/03/05
経理や人事、総務や一般事務などがバックオフィス業務に該当します。バックオフィスは企業活動を支える重要な部署ではありますが、企業の収益に直接関わる部署ではないため、業務がこなせるギリギリの人員で作業を遂行するケースも少なくありません。専門的な業務も多く、量・質ともに一人当たりの負担が大きいため、早急なDX化が求められています。この記事では、バックオフィスのDX化や必要な背景、導入する際の注意点などを解説します。
目次
バックオフィスとは、企業を内側から支える役割を担う、事業運営に欠かせない業務です。部署としては、総務や経理、人事や一般事務などがバックオフィスに該当します。顧客と直接やりとりをおこなう営業やコールセンターなどはフロントオフィスに分類され、バックオフィスでは顧客と直接の接点はありません。
しかし、バックオフィスは企業に必要な3つの業務(生産・販売・会計事務)のうちの一つであり、支払いや請求など経理面での管理、税金周りや保険手続きの管理、決算などの会計管理などをおこなうため、バックオフィスなしでは企業活動を維持することはできません。バックオフィスには企業活動を支える重要な役割がある一方で、企業に直接収益をもたらす業務ではないことから、軽視される傾向にあります。経営層にとってはできるだけコストを削減したい部署でもあるため、人材の確保が積極的におこなわれず、一人が負担する作業量の多さが問題視されることもあります。
企業活動の効率化を促し生産性向上のための取り組みとして注目されているのがDXです。DXとはデジタル・トランスフォーメーションの略で、デジタル技術をもちいて業務の効率化をおこない、業務のデジタル化を進めることで会社組織や社会風土そのものを変革するための動きを指しています。
DXが求められる理由としては、古くからそのままの形で残る生産性の低い業務の効率化、DX化されないまま時間だけが過ぎることで発生する巨大な経済損失の回避、競争の激しい国際市場で戦っていくための優位性や独自性の確保です。 日本の労働生産性が低いまま改善されないことから、各省庁がDX促進に向けたサポートをおこなっており、大企業の中にはDXを推し進めている企業が多くありますが、中小企業ではなかなか進んでいない現状があります。そもそもデジタル技術に詳しい人材が社内にいない、DXを検討するにしても導入には大きな費用がかかる、といったケースもあります。そのため、サポートが終了したとしても、使い慣れた古いシステムのまま業務が続いてしまっています。
企業の収益を高めるためには、人的リソースを商品やサービスの開発・営業・販売などに集中させるのが定石です。対してバックオフィスのほとんどは会社の収益に直接関わらないため、多くの人材を集中させることが難しい部門でもあります。企業活動を支える重要な部署であるのにも関わらず、人材が不足する事態が多くの企業で発生しています。
また、バックオフィスでは緻密さと正確性が求められる業務が多く存在しています。経理関係については1円でも誤差があれば問題になりますし、法務関係の業務では契約書に一字でも誤りがあれば企業の信用問題に影響を与えます。そのため、少ない人数でもスムーズでミスのない業務を遂行できるように、バックオフィス業務の効率化が求められているのです。人手に頼った業務であれば、気をつけていてもミスが発生することはありますから、業務のDX化は急務となっています。
バックオフィスが抱える課題についてですが、全体的な流れとして、DXが遅れている日本の現状があります。各省庁ではDX推進に向けたガイドラインなどを作成していますが、国内の中小企業にはDXを進める風潮や習慣が根付いておらず、国際的な比較をすると、国全体としての生産性が落ちていることが懸念されています。
多くの企業でDXが浸透しない理由としては、経営層に業務のデジタル化に対する関心や知識がないことが挙げられます。企業のトップにDXへの理解がなければ、当然ながら社内のDXが進むことはありません。また、DXへの関心があったとしても、業務の効率化を担当するデジタル人材がいない、他の業務で忙しく変革に協力できる人材すら不足しているケースも少なくありません。
社内の変革が進まず従来のアナログでの業務が続き、バックオフィスには絶えず社内各部署からの問い合わせ対応がありますから、新たに担当できる人材を確保しなければ、バックオフィスの改善を進めることは困難になります。
DX化することで多くの業務が自動化・効率化されるメリットがあります。バックオフィスの業務としては、経理なら経費精算や請求書・領収書発行、人事なら給与計算や労務管理、総務なら備品管理や書類作成などがあります。いずれの業務もDX専用のシステムやツールへ作業を代替することができるため、手作業で業務を進めている場合、担当者の負担を大きく減らすことができます。バックオフィスの長時間労働を減らし、他の業務に時間を割けるようになるため、会社としての生産性が高まります。
DXにより業務の効率化ができれば、担当者の長時間労働を減らすことができるため、残業代の節約につながります。作業の機械化が進むことで、単純作業やルーティン作業に取られていた時間を他の生産性を高められる業務に当てることが可能になります。また、紙で管理していた契約書や資料をデータ化し、一元管理できるようなシステムを導入することで、社内のペーパーレスが進み印刷費用も削減することができます。
経理や労務、法務などのバックオフィスでは、複雑で専門的な知識が必要な業務やミスの許されない業務が多々あります。しかし、人が業務に関わる以上ヒューマンエラーによるミスを避けることはできません。
そこで有効なのがDXシステムやDXツールを利用した業務の自動化や機械化です。システムやツールは指示された通りの作業を迅速かつ正確に遂行するため、誤った指示や誤操作がない限り、正確な作業を疲れることなく続けることができます。作業ミスは会社の信用にも大きく影響を与えますから、バックオフィス業務の機械化を検討するメリットは十分にあるはずです。
バックオフィスの業務は一人の業務量が多く専門性も高いため、属人的な業務になりやすい傾向があります。属人的というのは人に依存している状態のことを指しており、人員が減らされる傾向にあるバックアップ関連部署では属人的な業務が多く存在します。
一人の担当者が多岐にわたり専門性の高い業務をこなすのは、多くの中小企業で見られるシーンでもあります。それゆえに長期休暇や退職の際に業務が止まってしまうことが多くの企業で発生しています。ツールやシステムを導入することで、担当者不在でも業務が回るような仕組みを構築することを可能にします。DX化は人に依存しない業務遂行を目指すものでもあります。
業務の効率化で得られるメリットは、ストレスのかかる単純作業や雑務を減らせることにあります。雑務から解放された社員たちは、それぞれが自分の本来の役割を果たす仕事に注力できるようになり、働くモチベーションを高めることにつながります。自身が専門とする業務を集中的に進めることで、仕事へのやりがいを存分に感じられることでしょう。DXは業務の効率化をもたらすだけでなく、社内の前向きな雰囲気を作り出すことにも貢献します。
DX導入による業務の効率化や自動化が進めば、職種によってはリモートワークの導入が可能になります。コロナウイルスのまん延防止対策の一つとして全国的に広がり始めたリモートワークですが、オフィスに行かなくても自宅や外出先から普段と変わらない業務ができるようになるため、従業員のワークライフバランスの充実をはかることができます。
柔軟な働き方ができバックオフィス業務によるサポートが充実すれば、会社全体としての生産性アップにもつながるはずです。また、多様な働き方ができるようになれば、採用にも良い影響を与えます。働きやすさは優秀な人材を惹きつけるためのメリットの一つでもあります。
DX化を進める際に、最も手を出しやすい作業の一つがペーパーレス化です。バックオフィスは契約書や請求書など、社内外に必要な資料を作成する部署が多くあります。紙の資料は探すのに時間がかかり、紛失のリスクがあるため、扱いにストレスを抱える従業員も多いはずです。
また、紙の資料の場合、保管のスペースを確保する必要があるため、資料が膨大になるほど管理方法に頭を悩ませることになります。資料をデータ化してペーパーレスを進めることで、資料を紙で保管する際に発生するリスクやストレスを抑えることができます。資料のデータ化が完了すれば、外出先からでも必要な資料を瞬時に探し出すことができ、スペースを確保することなく全ての資料を一元管理できるなど、ペーパーレス化には多くのメリットがあります。
ペーパーレス化と合わせて進めたいDXとしておすすめなのはクラウドサービスの利用です。クラウドサービスとは、インターネット環境さえあればクラウド上に保管している資料の閲覧や編集ができ、社内で必要な手続きをクラウド上で進めることも可能になります。
また、データを共有すれば複数の従業員が一度に同じ資料を閲覧することができるため、離れた場所にいながら情報共有や共同作業を可能にします。インターネット上での資料閲覧や作業はセキュリティ面のリスクが懸念されていますが、政府からセキュリティガイドラインが作成されるなどセキュリティ体制は年々改善されており、安全性の高いテレワークを可能にします。
RPAとはRobotic Process Automationの略で、機械による業務の自動化を意味する言葉です。単純作業などは機械が自主的に作業を進めてくれるため、ルールの決まっている経費処理、データ収集や分析、コールセンターのサポートなどに活用することができます。クラウドサービスなどとも親和性があり、取得したデータや記録をクラウド上で共有するところまで機械に任せることも可能です。指示をプログラムされた機械が作業をするため、迅速かつミスのない作業を何時間でも続けることができます。
RPAをより高次元な作業をさせるのに、AIやチャットボットの利用が有効です。AIには自主学習機能があるため、本来であれば担当者の経験が必要な調整作業なども対応することができるようになります。チャットボットは自動会話プログラムのことを指しており、社内外の問い合わせに対して、予め設定された回答の中から自動で最適な回答を選択して応答する機械です。チャットボットを導入することで、問い合わせの対応に追われて業務を止める必要がなくなります。担当者の負担削減につながりますので、生産性のある業務に集中できるようになります。
バックオフィスにDXを導入する際は、まず効率化すべき業務の選別から始めます。一気に業務システム全体を変革するのは、費用面や担当者の負担を考えると現実的ではありません。対象業務の選び方としては、重要かつ頻度の高い業務を洗い出すことです。ミスが発生すると会社に大きな影響が出るような業務、毎週や毎月など定期的におこなう必要のある業務を選ぶと、DX導入の効果を検証しやすくなるはずです。たとえ煩雑な業務でも、半年や1年に1度程度の業務の場合、業務効率化の優先度は低くなります。
対象の業務が決まれば、細かな課題の洗い出しに移ります。対象業務を決めただけでは、具体的にどのようなシステムやツールを導入するのが良いのか判断ができないからです。作業量に対して人員の少なさを感じている、雑務に追われ、複雑な業務や集中力が必要な業務でミスが起こっているなど、業務に対する課題を一つひとつ把握していく必要があります。反対に単純な作業であっても、多くの時間を取られているようなら改善の余地があります。担当者へのヒアリングや時間外労働に関するデータを参考に、業務の課題を明確にしていきます。
改善すべき業務の課題の洗い出しが完了したら、最適なシステムやツールの検討をおこないます。DX化に向けた業務管理ツールには多くの種類があり、既成のシステムやツールからオーダーメイドのものまで多岐に渡ります。目的や会社の予算に応じて適切なサービスを導入するようにしましょう。
費用を抑える場合は既成のものを使うなど、試験的な利用から始めるのがおすすめです。できるだけ小規模で検証してから本格的な導入を検討する場合は、月額サービスの利用も便利です。注意点としては、部署ごとに別々の仕様のツールを導入してしまうことです。部署を横断したデータ管理や情報共有をしたいのに、仕様が異なるツールやシステムを利用していると連携が難しくなります。全体的な効率化を考える場合、扱うデータの規格やツールの仕様は共通にすべきです。とはいえ、部署ごとに業務の種類は異なりますので、カスタマイズできるようなツールがおすすめです。
老舗物流企業である鴻池運輸株式会社にて、問い合わせ一元管理ツールであるZendeskが採用された例をご紹介します。業務効率化のために社内システムのIT化を進めているものの、システムの使用で困った時は電話で問い合わせることが多いため、記録が残らず情報共有できていない状況に課題がありました。
そこで、社内向け問い合わせセンターの立ち上げにZendeskを採用します。Zendeskを採用した理由としては、システム構築に時間がかからずすぐに導入できる点や1つの画面で録音データの確認や問い合わせ対応が可能になる点が挙げられます。
Zendesk導入の効果としては、時間外や休日の問い合わせも、内容を確認して翌営業日に折り返しできるようになったことです。早急な対応が必要な件については電話対応もしていますが、業務が効率化されていることを実感されています。
バックオフィスのDXについて解説しました。バックオフィス業務は企業運営を支える根幹業務ではありますが、人的リソースの投入が積極的におこなわれないケースが多々あります。担当者の負担が大きく、属人化した作業も多いため、できるだけ早急なDX化がおこなわれることで、従業員の負担軽減やコストの削減が期待されています。
問い合わせ管理ツール「Zendesk」では、オンラインを前提とした業務効率化をおこない、バックオフィスのDX化を進めます。担当者不在による業務遅延の解消や人的リソースの配置換えのための業務効率化をお考えの際はぜひご相談ください。