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市役所の問い合わせ業務にZendesk®導入 対応見落とし回避、回答の標準化など実現し信頼性向上に大きく貢献

公開日 : 2024/04/15     /     最終更新日 :  2024/05/15


   導入事例

岐阜県南東部に位置する恵那市は、木曽川や矢作川などの河川と標高700~1,000m級の山々に囲まれた、山紫水明を感じられる地だ。
恵那市は快適な生活環境の実現と市内経済の活性化を目標に、2019年にICT活用推進計画を策定。それに伴い、恵那市役所もICTを活用したさまざまな取り組みを進めてきた。
今回、紹介する恵那市役所総務部総務課広報広聴係でも、市民からの問い合わせ対応にZendesk®を利用いただいている。
デジタル化・DX化の推進が行われている行政機関で、Zendesk®はどのように活用され、どんな効果をあげているのだろうか。
その経緯と効果について、総務課広報広聴係の係長・荒川幸枝氏と、主査・山中久美子氏に話を伺った。

職員を悩ませていた、問い合わせ対応の課題

恵那市役所広報広聴係の主な業務には、行政施策やサービス、社会生活に役立つ情報を伝える広報業務と、市民から寄せられる意見や要望に対し適切な回答を行う広聴業務がある。
広報業務では、報道機関にむけた記者会見や発表資料の作成、広報紙の発行、SNSを利用した情報発信、ホームページの管理などに対応する。
一方、広聴分野では市民からの問い合わせ対応など、業務内容は幅広い。
業務の中でも市民からの問い合わせについては、業務のデジタル化およびデータベース化が喫緊の課題となっていた。
ハガキ、メール、ホームページなど各チャネルから多くの問い合わせに対応するにあたり、広報広聴係は3つの課題を抱えていた。
課題の1つめは、問い合わせ対応の作業フローが煩雑だったこと。山中氏はこの課題について、
「市民からのお問い合わせは、広報広聴係が窓口になってまとめてから、担当課に依頼することになっています。Zendesk®導入前は回答作成を依頼する際、既定のExcelシートにお問い合わせ内容を記入し、そのシートをメールに添付・送付していました。担当課が回答を記入した後、こちらへ送り返してもらっていたんです」と語る。

2つめは、Excelシートを使った個別のやり取りでは、庁内での情報共有が難しかったことだ。誰からどんな問い合わせや要望が届いているのか、誰が対応しているのかなどが確認できないことが課題だった。
さらに、過去の問い合わせとその回答が1つにまとめられていなかったため、回答作成の際にそれらを確認して参考にできないというデメリットも。

「過去の問い合わせを参考にするためにも、全ての回答をまとめておく必要がありました。また課をまたいで情報共有できれば、回答の精度向上につなげることができるため、早急に一元管理したいと考えていたのです」(山中氏)。 そして3つめは、問い合わせを一元管理しておらず、進捗状況の把握・管理が難しかったこと。そのため問い合わせについて対応もれのリスクがあった。

「Excelの一覧表では問い合わせへの回答が記入されているか、総務課に返信されているかなど、ひと目で把握するのは困難でした」(荒川氏)
これらの課題を解決するため、問い合わせのタスク・進行管理や情報共有、効率化などが可能なZendesk®の導入を決定した。

Zendesk®で問い合わせを一元化し、スムーズな情報共有を実現

同係がZendesk®を導入したのは2020年の夏。問い合わせを全てZendesk®に集約し、問い合わせ確認から市民への回答まで、プロセスを一元管理した。
管理された情報を活用し、回答の作成に迷った時はZendesk®の検索機能を用いて過去の内容を確認。
また問い合わせはメール、回答は電話など、異なるチャネルでやり取りする場合には、チケットを利用して記録を行っている。
さらに、繰り返し同じ質問をしてくる人への対処方法も、Zendesk®を通して関係各課で共有している。

「例えば、特定の方から“ごみの回収場所を、もっと私の自宅に近い場所に変更してほしい”など、納得いただける対応が難しいお問い合わせを繰り返しいただいたとします。そういった場合、あらかじめその方からのお問い合わせだと認識しておくと、担当者も落ち着いてやり取りができます」(荒川氏)。

Zendesk®の導入で問い合わせを一元化したことにより、さまざまな効果が表れた。 「第一に作業の効率化です。Zendesk®にお問い合わせを集約できるので、対応を各課に依頼した後も無駄に時間を消費せず、導入前に比べて迅速な対応が可能になりました。また問い合わせを受けてから回答するまでのプロセスをまとめて管理できるため、対応を見落とす恐れもほぼなくなりました。導入前は担当者が回答をしたのか、総務課に返送されているのかなど、不明だったケースもありましたから」(山中氏)

「Zendesk®に蓄積した問い合わせ情報から、検索機能で対応履歴を確認できるようになったことも助かっています。例えばある問い合わせに対する回答の作成も、過去の対応情報を参考にして作成ができるので、市として一貫した対応が可能になりました。これは市民の皆さまからの信頼性向上につながると考えています」(荒川氏)。

さらに、Zendesk®で過去のデータを確認した職員が、自らの経験を担当課の職員に向けて助言するなどの変化もあったという。
これまでは認識されなかった情報が、可視化によって共有され、業務全体の改善につながる手がかりになっているようだ。
Zendesk®と市役所で利用しているビジネスチャットツール「Slack」を連携させ、時間や場所を選ばず、チケット化された市民の声を確認できるのも、導入のメリットの1つだ。
問い合わせを見過ごすリスクがさらに下がり、リアルタイムでの対応が可能になった。

ODKソリューションズの心強いサポート

Zendesk®導入後、その効果を実感したという荒川氏だが、同時に「Zendesk®は機能が多岐にわたるので、使いこなせていない部分もあると思います」と語る。
この発言を受け、山中氏も「今のところ、疑問点や不明点はODKソリューションズさんに問い合わせていますが、私たちがより深くZendesk®について理解できればいいのに、と思うこともあります」と続ける。

具体的な疑問点・不明点として、「Zendesk®に決裁機能があれば、問い合わせに関する作業がすべてZendesk®上で完結するのですが、つけることはできますか?」と山中氏。
これについては今後、決裁機能を実装予定なので、さらに便利になる見込みだ。
荒川氏からは、「回答でよく使う言い回しや解答例などを登録できれば、時短になって便利なのですが」という質問が出た。
現在のところ、これは、「マクロ」と呼ばれる定型文等の登録・挿入機能で対応することが可能だ。

ODKソリューションズでは、日々のお問い合わせ対応の他に、個々のクライアント専用にサポート体制を組む「運用保守契約」も用意している。
疑問点・不明点が広範にわたる、あるいは質問のボリュームを気にせず問い合わせたいなどの場合におすすめだ。

Zendesk®をより良いまちづくりのためのツールに

荒川氏と山中氏に、これからZendesk®を用いて実現したいことや、今後の展望などについて聞いた。

山中氏は「現在はZendesk®をさまざまな質問の収集に用いていますが、ゆくゆくは市政に対するご意見をまとめる専用ツールとして活用したいです。集まった意見や要望を関係職員で共有し、より良いまちづくりに活かしていきたいですね」と今後の計画を語る。

そのために必要となるのが、FAQやAIチャットボットを充実させ、簡単な疑問は市民の方々自身に解決してもらうことだ。

「もっとFAQをご利用いただくには、サポートページがすぐ見られるようにリンクさせたり、解決の手助けになりそうな別の回答をリコメンドさせたりする工夫が必要です」(山中氏)

「この試みが実現すれば、市民の方々にもっと気軽に市政へ参加いただけ、ご意見を反映してより良いまちづくりに活かせる」と、荒川氏も期待している。

もう1つ、今後の展望として考えているのが問い合わせの集計・分析だ。
「いずれ取り組みたいが、今は方法がわからなくて手つかずになっています」という荒川氏だが、Zendesk®には問い合わせの集計はもちろん、FAQの閲覧状況の確認などができる機能も搭載されているので、ぜひ活用していただきたい。
市民からの問い合わせが多いのは、それだけ市役所が身近な存在であることにつながる。
市民とのコミュニケーションを支え、その声を市政に活かすための強力なツールとして、Zendesk®が果たす役割は大きい。
行政の現場におけるデジタル化・DX化を支えるべく、Zendesk®とODKソリューションズはこれからも進化していく。