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目的・運用者を絞ったスモールスタートでZendesk®を導入 問い合わせ業務の50%削減を実現し、対応品質も向上

公開日 : 2023/07/26     /     最終更新日 :  2024/03/05


   導入事例
東京理科大学 Tokyo University of science

東京理科大学では、2022年度から出願者からの問い合わせにZendesk®を導入。それまでは属人的だったナレッジの蓄積と問い合わせ業務の約50%削減を実現した。

課内の理解を得ながら従前の課題を解決するため、まずは特定の入試方式における出願者対応に導入を絞り、少数アカウントによるスモールスタートで始まったというZendesk®の活用。その経緯と効果を入試部入試課の西谷憲二氏と海野ゆかり氏に伺った。

 

入試課の問い合わせ対応は、公正・公平が第一

理工系学部と経営学部の7学部33学科からなり、東京、千葉、北海道に計4つのキャンパスを擁する東京理科大学は、1881(明治14)年に「理学の普及」を目的として創設された歴史ある大学だ。大学専門情報サイトの「教育力が高い大学」という調査において私大の中で3年連続1位の評価を受ける同大の大学院は、2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞した大村智博士を輩出。今回伺った神楽坂キャンパスには同氏の功績を讃える「大村智記念展示室」が設置されている。
同大の入試課では、志願者の対応から入学試験の企画、志願者受付及び実施、入学手続に関する業務全般を担当。お話を伺った西谷氏と海野氏は、システム担当として入試全般のシステムの運用管理を担い、課内の業務効率化と生産性向上に努めている。
「志願者や入学手続者からの問い合わせで最も大切なのは、担当者間で違った答えを出さずに公正公平な対応を守ることです」と西谷氏。特に、個々の状況を確認しながら答えなければならない出願者への対応や、期限を厳格に設けている入学手続の問い合わせには非常に気を遣うという。
そうした中で従前の課題としてあったのは、問い合わせ対応におけるナレッジの蓄積だ。それまでもマニュアルを作成するなどして小さなステップアップを図ってきたものの、ひとまとめに集積された情報はなく、在籍年数によって対応品質に差が出ているほか、人事異動によって担当者が入れ替わるたび、一から教育が必要になっていた。それを解決しようと考える中で、Web出願の業務で縁があった株式会社ODKソリューションズ(以下、ODK)が提案するZendesk®に関心を持った。

 

スモールスタートで導入し、徐々に理解を図る

問い合わせのチャネルは電話とメール。学校推薦型選抜が始まる10月頃から問い合わせが増え、一般選抜が行われる1月周辺が年間の中で一番の山場になる。その時期は輪番制で電話担当者を置いているが、鳴り止まない電話の対応に付きっきりになることも少なくなかったという。「事務組織の改編や人事異動等により課内の人的リソースが限られてきたこともあり、問い合わせ対応を効率化して他の業務へのリソースシフトを進める必要がありました」と西谷氏は語る。
ところが、新しいシステムの導入においては、課内の理解を得る必要があった。特に実際に入試全般の問い合わせ業務にあたる担当者からは反対の声もあったという。
「私たちの係はどうしてもシステム的な論理ばかりが先走ってしまって、DXや効率化という言葉をふりかざして話を進めがちなところがあります。ただ、問い合わせを直接受ける係からすれば、公正公平な対応を重視するがゆえに履歴が残ってしまうことに抵抗を感じたと思いますし、問い合わせのハードルが下がることによって、逆に問い合わせの数が増えてしまうのではないかという不安もあったと思います」(海野氏)
そこで考えたのは、問い合わせ業務の中でも「出願」の対応だけに活用を絞ったスモールスタートでの導入だった。
「すべての問い合わせ業務に導入するとなると、課内全体から広く理解を求める必要があって、なかなか話が進みません。ただ、組織の方針から考えても、こうした効率化は絶対にやらなければならないという思いが私の中に強くありました。それならば、まずは我々システム係の業務の中だけに取り入れて、小規模の範囲で効果を検証しながら他のプロセスへ展開していく方針にしたらどうかと。出願については出願受付センターの運営でODKに関わってもらっている部分なので導入がスムーズで、効果検証もしやすいというメリットもありました」(西谷氏)

 

※実際に利用されているFAQサイト。受験生は問い合わせを行う場合も含め、まずこのサイトに訪れることになる。

 

問い合わせ対応のコストが約半減、公正公平な応対品質もアップ

現在はメールの問い合わせにZendesk® Supportを、FAQ/Webフォームの運用にZendesk® Guideを活用。利用できるスタッフはシステム係の一部だけに絞り、それ以外の係に共有する場合はZendesk®から各担当者へメール転送する仕組みにしている。
昨夏の導入後、それまでは設けていなかったFAQを充実させることで問い合わせ対応コストは前年の約50%に減った。電話問い合わせの内容も、詳しい聞き取りをやめてZendesk® GuideのFAQ/Webフォームに誘導するよう統一することで対応の難易度が下がるとともに、公正公平な対応が従来よりも保たれるようになった。実際に効果が見えてきたことで、最初は不安を感じていたスタッフからもポジティブな反応が届いているという。
問い合わせの内容をナレッジとして蓄積し、その内容を分析してFAQを充実させ、電話とメールにかかる手数が減るという良い形が生まれつつある。
「履歴が一元管理できるようになったのは本当に大きいです。それまでは何か記録すべきことがあってもメモが散財して、担当者によって在処が分からないような状態でしたから。一元管理できることによって、みんなが関わり、さまざまな声が一か所に集まるようになりました。入試方式により出願形式が変わってくる部分もあるので、FAQのカテゴリーを細かく分岐できるところもいいですね」(西谷氏)
「導入の際は前年にPDFで作っていたQ&AをそのままFAQに移行するところから始めましたが、今は課内の各ポジションが集まって、現場とも意見交換をしながら新しい項目を増やしていく形がとれています。項目や言葉の選び方によってはFAQに載せることで誤解を招いてしまうこともあるので、複数の視点で内容の取捨選択ができるようになったのも、情報が見える化できた利点だと思います」(海野氏)

 

頼もしかったODKの簡易マニュアル

Zendesk®は公式のリファレンスをネット上に公開しているが、独特の表現や用語をしている箇所も多いため、初めて見る方の中には気後れする人も少なくないと聞く。システムに詳しい西谷氏たちも当初は直感的な操作性に使いやすさを感じた反面、管理者メニューの多さなどに戸惑うことがあったという。そうした点に対して、当社ではお客様ごとの目的に沿った簡易マニュアルを作成し、わかりやすい運用をサポートしている。
「FAQのちょっとした修正もすぐにできるなど慣れてしまえば簡単に操作できますが、初めのうちはこのマニュアルがとても役に立ちました。ODKには、限られたライセンスで導入したいという要望や当初は少しぼやっとしていた運用イメージを明確なフローとして確立してもらい、とても感謝しています。常日頃から我々が考えている以上のプラスフルファの提案をしてくださるので、今後も持ちつ持たれつ信頼関係を築いていきたいと思っています」(西谷氏)
スモールスタートで始まったZendesk®の活用。導入から2度目となる入試シーズンを目前にライセンス数を拡大し、問い合わせを受ける現場にも活用を広げている。今後は出願から入学手続まで入試課の業務範囲すべてにZendesk®を導入し、入試要項等に記載する問い合わせ先もZendesk®への一本化を目指しているという。

 

東京理科大学の新たなチャレンジとともに

「志願者の方々が受験の際に疑問点があればすぐにFAQで確認できる。また、込み入った内容の確認がある場合もすぐに大学に問い合わせができ、我々もナレッジをもとに素早く円滑なコミュニケーションを取れる体制を整えておくことは非常に重要だと思っています。その上で今後も公正公平な対応品質を保ちつつ、問い合わせにかかる業務負担を可能な限り減らし、そこで削減できたリソースを入試制度の企画・設計、調査といった上流工程に費やせるような環境を構築したいと考えています」
今後の入試課のあり方について、そう語ってくれた西谷氏。多くの大学がよりわかりやすく、よりスムーズな入試案内を目指す中で、スモールスタートという形はひとつのヒントになるかもしれない。そして、踏み出し始めた東京理科大学の新たなチャレンジを今後もODKは支えていく。