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顧客満足度(CS)を測定する7つの指標と重要なKPIについて解説

公開日 : 2022/10/28     /     最終更新日 :  2024/03/05


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商品やサービスの改善をするためには、顧客の率直な意見を参考にすることが欠かせません。しかし、顧客のニーズは目に見えるものではないため、言葉にしたものが全て真の意見というわけでもありません。そこで、顧客の意見をより客観的に知るために、多くの企業で顧客満足度(CS)の調査がおこなわれています。
顧客満足度は、顧客の意見はもちろん、商品やサービスに使用した金額や継続的にサービスを利用してくれる顧客の割合など、さまざまな角度から調査することで、的確に顧客の意見を分析できるようになっています。この記事では、顧客満足度を測定するのに有効な指標と親和性の高いKPIについて解説します。

顧客満足度(CS)とは?

自社の商品やサービスを継続的に購入してもらうには、顧客が期待する効果もしくはそれ以上を実感できることが大切です。
期待する効果を実感できなければ、継続的な購入を見込むことはできず、また新たな顧客が来るのを待たなければなりません。商品やサービスを利用した顧客をいかに満足させられるかがカギとなります。顧客が商品やサービスに満足した度合いを数値などで示したものを顧客満足度と言い、Customer Satisfactionを略してCSと呼ぶことがあります。

 

顧客満足度を測る7つの指標

顧客満足度をできるだけ正確に把握するには、さまざまな視点から顧客の満足度を推測する必要があります。顧客による直接的な評価もあれば、支払う金額や期間や不満の度合いから満足度を評価することもできます。ここでは顧客満足度を測る8つの指標をご紹介します。

NPS

NPSはNet Promotor Scoreの略で、正味推奨者比率と訳されます。購入した商品やサービスを他の人にも推薦したいかどうかを10段階で評価してもらい、顧客を推奨者・中立者・批判者に振り分けて満足度を測ります。
推奨者は商品やサービスの再購入の可能性が非常に高く満足度が高評価となり、中立者は商品やサービスの悪口は発信しないまでも競合に乗り換える可能性があり、批判者はネガティブな口コミを広げる恐れがあり満足度の低い評価となります。

CES

CESはCustomer Effort Scoreの略で、顧客努力指標と訳されます。NPSは他者に推薦したいというポジティブな評価をおこないましたが、CESでは手続きや操作にかかった時間や労力など、満足度のネガティブな側面について評価をおこなうための指標です。手続きにどれくらい時間がかかったか、どれほどのストレスを感じたか等の質問をおこない、7〜10段階でストレス負荷を評価します。

CSI

CSIはCustomer Satisfaction Indexの略で、顧客満足度指数と訳されます。世界30か国で利用されている満足度を測る指標で、顧客期待値・顧客不満度・顧客忠実度・知覚品質(品質に対する評価)・知覚価値(値段に対する評価)を評価する複数の質問を組み合わせることで、信頼性の高い満足度を調査することができます。政府機関や大企業でおもに活用されています。

JCSI

JCSIは日本版に改良したCSIで、経済産業省の主導により3年の開発期間を経て完成した顧客満足度調査のための指標です。CSIと同様に項目別の質問が設定されており、JCSIでは顧客満足・顧客期待・知覚品質・知覚価値・口コミ・ロイヤルティの6項目で評価をしています。
業種を横断した満足度の比較調査が可能で、項目別に満足度を評価できるため、不満足の原因が分かりやすく、ビジネスに応用しやすい特徴があります。経営目標にJCSIの評価を活用する企業も多くあります。

CSAT

CSATはCustomer Satisfactionの略で、顧客満足度と訳されます。商品やサービスを使用した顧客の満足度を感情の面から評価する方法で、非常に満足・満足・普通・不満・非常に不満の5段階評価をアンケートで調査します。
解答方法が選択式なので負担が少なく、手軽に多くのデータを集められる特徴があります。問い合わせの完了時など、特定のサービス内容に対してその場で評価をすることができます。

LTV

LTVはLife Time Valueの略で、生涯顧客価値と訳されます。1顧客が商品やサービスの購入から取引を終えるまでの間にどれほどの利益をもたらしたかを算出して顧客満足度を評価します。
商品やサービスに対する満足度が高いほどLTVは増大し、満足度が低ければ他社の商品やサービスに乗り換えをされてしまうためLTVは減少します。LTVを短期間で評価することは難しいため、長期的な数値目標を掲げる際にLTVが利用されています。

CRR

CRRはCustomer Retention Rateの略で、顧客維持率と訳されます。顧客維持率とは、一定の期間の中で取引を継続している顧客の割合を示したものです。
維持率の割合を高めることができれば、LTVの拡大を実現できるため、顧客の満足度を高めつつ会社の利益を安定させることができます。顧客の定着を促進できれば、負担の大きい新規顧客の獲得コストをおさえるため、顧客維持率のモニタリングは事業運営をする中で重要度の高い指標の一つと言えます。

 

顧客満足度(CS)を調査する方法

アンケート

顧客満足度(CS)の調査方法として最も手軽でデータ量を獲得できるのがアンケート調査です。アンケートの種類には選択タイプや記述タイプなどがあり、組み合わせるなどして無理なく回答できる設問を作成する工夫が必要です。用紙に記載しても良いですし、ウェブサイトに専用フォームを用意すればより多くの人に回答を得ることができますし、アプリを利用すればスマホから手軽に回答してもらえます。

対面インタビュー

より多くの情報を得ようとする場合は、対面インタビューでの調査が適しています。決まった質問だけでなく、状況に応じて深堀した質問を投げかける、話題を変えるなど、柔軟な調査を可能にします。対面インタビューは、全体の平均値よりも個別の意見や感想などの情報を得るのに効果的な調査方法と言えるでしょう。ただし、調査のためにはインタビュアーを用意し、質問をする相手に時間を取ってもらう必要があります。

電話調査

対面でのインタビューと同じように自由な質問ができ、かつ人的コストや時間的コストをおさえられる方法に電話調査があります。対面のように自由な質問を投げかけることができ、かつインタビュアーに移動などの手間を取らせる必要がありません。ただし、多数に向けて電話調査をする場合は時間帯によっては回答を得られないケースがありますし、音声録音によるアンケートもできますが、対面でない分期待するほどの情報量を得られない場合もあります。

モニタリング調査

よりフラットな意見を収集するための方法としては、モニタリング調査があります。モニタリング調査とは、顧客を装って店舗への来店や電話での問い合わせなどをおこなう方法です。また、一般消費者からモニターを募り、商品やサービスの体験を記録する方法などもあります。一般的な意見を得られるため、より中立な立場からの視点で商品やサービスの改善に活かすことができます。

 

顧客満足度(CS)の指標を活用するコツ

目的を明確にする

顧客満足度を調査する目的や調査対象を明確にすることで、より的確に顧客満足度の現状や顧客のニーズを把握することができます。今回のアンケートは何を知るためにおこなうのか、誰に対しておこなうのか、どのような質問を投げ掛ければ知りたい答えを得ることができるのかなど、順番に確認していきます。はじめに決めるべき目的を曖昧にしてしまうと活用しづらい調査結果になってしまうため、まずは調査の目的を検討することが大切です。

評価を数値にする

顧客満足度に関する情報を数値で収集する、もしくは得られた情報を数値に変換することで、より客観的な評価をすることができます。アンケートやインタビューなどで得られる顧客からの意見は主観的なものになるため、商品やサービスの改善点を見つけにくい場合があります。LTVなど商品に使った金額で評価を確認する、NPSのように多数の評価を平均化して意見を数値化するなど、複数の指標を組み合わせることで、より客観的な評価をすることができます。

情報取得の経路を増やす

顧客満足度調査で得られる結果の信頼性を高めるためには、ある程度のデータ量が必要になります。また、データを収集する情報源も分散させることで、データの偏りをおさえることができます。チャネルと呼ばれる情報取得の経路を増やすことが、調査の正確性を高める助けとなります。対面だけでなく、電話やウェブサイト、メールやSNS、アプリなど調査対象となる顧客が使う情報源を網羅することで、より信頼性の高い調査が可能です。

既存顧客に目を向ける

顧客満足度の調査は、元々既存の顧客とのコミュニケーションを図ることを目的に実施されていたマーケティング手法の一つです。商品やサービスを購入してくれた顧客に対して、他のチャネルでも広告を見てもらうことで認知を高め、アンケート調査をしてコミュニケーションを取り信頼性を高める、時には商品開発への意見をもらうことでより積極的に自社商品の使用を促進することができます。満足度調査は既存顧客の定着化を高める効果を得られやすい手段でもあります。

顧客満足度(CS)の指標と親和性の高いKPI

顧客満足度の調査で現状の結果を得られたら、その結果を元に改善や対策後の追跡調査をおこないます。顧客満足度の調査結果と親和性の高いKPIとの関係性を照らし合わせて分析をすることで、顧客満足度が高ければ自社の強みが分かり、顧客満足度が低ければその原因を発見することができます。

顧客数

顧客数は、自社の商品やサービスを購入したことのある顧客の数のことです。調査対象の母体であり、調査の目的によっては商品ごとやチャネルごとなどで分類してから満足度調査をおこなうこともあります。

紹介顧客数

紹介顧客数は、既存顧客からの紹介によって商品やサービスの購入に至った顧客の数です。正味推奨者比率であるNPSの数値との関係が深いKPIでもあります。NPIの数値が高ければ、満足度が高く紹介顧客数に影響を与えるでしょうし、NPIの数値が高いのに紹介顧客数が低ければ、調査で得られた回答とは異なり、商品やサービスに何かしらの課題を抱えている可能性が推測できます。

コンバージョン率

コンバージョン率とは、接点を持てた顧客の中で、商品やサービスの購入にいたった顧客の割合を示すKPIです。コンバージョン率は商品ごとに数値が異なりますし、サイトやSNS、メールや電話など各チャネルによっても数値が変動します。コンバージョン率の高いチャネルを見つけ出し、そのチャネルに広告を多く出稿することで、購入に結びつきやすい顧客との接点を増やすことができます。

リピート率

リピート率とは、商品やサービスを継続して購入してくれる顧客の割合を示すKPIです。継続購入の割合が多ければそれだけ顧客満足度が高いことの表れでもありますから、リピート率を上げることができれば、顧客の定着率が高い安定したビジネスを展開することができます。

解約率

解約率は、顧客満足度の低下を最も分かりやすく示してくれるKPIの一つです。顧客の誤解による解約なども原因の一つではありますが、提供している商品やサービスが顧客の期待を上回ることができなかったケースも多々あります。解約の理由を解明し、自社で解決できるようであれば対策を講じる必要があります。

 

まとめ

顧客満足度を測定するための指標と親和性の高いKPIについてご紹介しました。顧客満足は目に見えにくい情報でもあるため、顧客の意見以外にも数値で客観的に判断できる指標やKPIを利用して、さまざまな角度から評価することが大切です。
Zendeskでは、顧客満足度を高めるために各チャネルの横断的な顧客対応やデータの管理・活用が可能です。顧客満足度の調査方法がわからない、顧客満足度の向上に課題を感じている場合は、ぜひご相談ください。